ちょっといい話
それは、昨日会社からの帰り道のことでした。
ここからは、僕の相棒から聞いてやってください。
僕の名前は、『キーリング』。
サーフさんとは15年以上の長い付き合いです。
ハワイのときからずっと一緒に過ごしてきました。
いろんな鍵をぶら下げてきましたが、今はこの3本の面倒を見ています。
奥さんとケンカして落ち込んでるサーフさんは家路に向かう足取りが
とても重そうで、終始何か考えてる様子です。
『元気出して!帰って仲直りすればいいじゃん!』
僕の必死の呼びかけにも、聞き耳すらたててもらえない様子でした。
会社の駐車場で自転車の鍵を開けた後、僕はいつものように
サーフさんのポケットに・・・『ちょっとちょっと・・・そんなに浅くだとおっこっちゃうよ!』
そんな呼びかけすら聞こえて無いようです。
大楠3丁目にさしかかったころでした、突然の衝撃に僕は何がなんだかわからず
気が付いたときには、サーフさんの影が遥か遠くに過ぎて行き・・・
僕とサーフさんとのお別れのときでした。
その後のことは、よく覚えてません。
後で知りましたが、その事に自宅で気づいたサーフさんは
必死で僕のことを探してくれたようですが・・・
その夜僕は知らない所の、冷たい保管室の中で
ご主人に忘れ去られてしまい、行き場の無くなったキーリングたちと
一晩を過ごしました。みんな寂しそうでした・・・
僕もサーフさんのことを考えたら涙が出そうになりましたが
信じて頑張ろうと考え、必死に耐えました。
『1日過ぎても迎えに来てくれないと、ずっとここにいなけりゃならなくなるんだ・・・』
年老いてさび付いたキーリングが僕につぶやきました・・・。
『そんなこと絶対無いっ!』何度も何度も心の奥で叫び続けました。
後30分ほどでまる1日が過ぎてしまいます・・・
僕も心が折れかかり、半ばあきらめかけていたとき・・・
目の前が急に明るくなりました。
『この鍵に間違いありませんか』
という女性の問いかけに
『間違いありません。ありがとうございます。助かりました!』
聞きなれたサーフさんの声です!
サーフさんの声が上ずってましたが、僕も負けないぐらいに上ずってました。
サーフさんが、迎えに来てくれました。
またずっと一緒にいられます。幸せです。
これからも今まで以上に大切にしてもらえそうです。
サーフさんでよかった。
まさかと思って、高宮交番に行き、届けを出したら
南署にあるとのことでした。
拾って届けてくれた方、本当にありがとうございました。
福岡に来て5年が過ぎましたが、福岡の良さを再認識して
とても幸せな気持ちになりました。
かみさんとも仲直り出来そうです。
匿名で届けてくれた方、本当にありがとうございました。
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